2009年05月12日

ついに発売!キヤノンEOS Kiss X3

【作例写真掲載】ついに発売!キヤノンEOS Kiss X3を最速レビュー

 小型軽量ボディーと手ごろな価格で人気のキヤノン「EOS Kiss」シリーズ。昨年発売の「EOS Kiss X2」は、初めての一眼レフからハイアマチュアのサブ機として好評だが、わずか一年で上位モデルの「EOS Kiss X3」が登場した。今回大きくスペックアップしたのは、この価格帯では最高クラスの1510万画素CMOSセンサーと、フルHDの動画撮影機能だ。

 各社競争の激しいエントリークラスとはいえ、短期間に大幅なバージョンアップを果たした「X3」。その実力やいかに?





1510万画素のCMOSセンサーの実力は圧巻!高感度特性も良好


 「X3」の1番の注目点は、エントリークラスではオーバースペックとも思える1510万画素CMOSセンサーの実力であろう。結論から言うと、上位機に迫る非常に優れた画質だ。しっかりとした解像感と、ハイライト・シャドーのトーン再現も上位機に見劣らない。軽量・コンパクトなボディーを生かして、上級者が使っても不満が出ることはないだろう。逆にここまで高画質な描写だと、安価なキットレンズではセンサーのポテンシャルを生かしきれない印象さえある。

 画素数アップによる高感度時の画質低下を心配していたが、それは杞憂(きゆう)に終わった。ISO800以上ではノイズが増えるものの、ディテールが大きく甘くなることはなく、ISO1600までは実用に堪える。

 JPEG撮影なら、ノイズを嫌って無理に感度を下げるよりは、感度を上げて手ブレや被写体ブレを防いだほうが、シャープで見栄えの良い写真が撮れるだろう。なお、最大12800まで上げられるISO感度だが、3200以上は急激にノイズが増え、コントラストも低下する。あくまでも非常用と考えたほうがよい。

 また、レンズのプリセットデータを使って四隅の光量低下を補正する「レンズ周辺光量自動補正機能」も新たに備わった。あらかじめ27本の純正レンズのデータを記憶しており、付属ソフトを使ってほかのレンズも登録できる。実用的で気の利いた機能だ。



細密感あふれるフルHD動画、操作性は難あり

 もう1つの注目は動画撮影機能。フルHD画質(1920×1080ドット・20fps)とHD画質(1280×720ドット・30fps)の高精細の HD動画を撮影できる。ファイル形式はMOV形式。HDMI出力にも対応し、ケーブル一本でHDTVにつないで視聴できる(HDMIケーブルは別売り)。

 筆者宅にはHDTV環境がないので、パソコンのWUXGAのモニターで再生してみたが、フルHD画質では非常に高精細で美しい映像が楽しめた。心配だった毎秒20コマの動画も、よほど速く動くものでもない限り、違和感はなかった。

 しかし、いくつか気になる点もある。まずは、1ファイル最大4GB、または29分59秒までしか連続で録画ができない制約だ。また、書き込みが遅いSDカードではさらに録画時間が制限されてしまうので注意が必要だ(Class6以上のSDカード推奨)。

 音声の録音は内蔵のモノラルマイクのみ。外部マイクが使えないため、音にこだわる人には不満が出るだろう。撮影中でもオートフォーカスは動作するが、セットのレンズは超音波モーターではなく、この動作音をかなり拾ってしまう。

 これを防ぐには、あらかじめピントを合わせてから録画をスタートし、撮影中はできるだけ音の出る操作をしないなどの工夫が必要だ。また、ビデオカメラと違ってレンズのズームは手動なので、注意して操作しても、映像がブレてしまうことが多い。

 超広角から超望遠まで多彩なレンズを使って、高画質な映像が撮れるのは大きな魅力だ。とはいっても、音質や使い勝手はビデオカメラに遠く及ばないので、動画機能は「おまけ」程度に考えておいたほうが無難だろう。



目新しい変化はないが、高級感を増したボディー

 従来の「X2」と比べると、外観は驚くほど変化が少ない。遠くから見れば、「X2」ユーザーでも区別がつかないだろう。だが、手に取って眺めてみると、高級感は確実に増しているのがわかる。

 プラスチック製の外装は「X2」と同じだが、単純なツヤ消し仕上げから、キメの細かい梨地の仕上げとなり、マグネシウム外装の上級機に近い質感になった。ボディー右上の「EOS」のロゴは、これまでのプリント塗装から金属プレートに変更され、ここでも高級感がアップしている。撮影にはあまり関係のない部分ではあるが、持つ喜びを感じさせるうれしい変更点だ。

 モードダイヤルは金属の質感を生かしたシルバー。ダイヤルの周囲は滑り止め加工がされており、昔の銀塩カメラを彷彿(ほうふつ)とさせる。レトロな雰囲気とともに、操作性も向上している。細かい点だが、金属製になったせいで、光の反射により視認性が少し落ちてしまうのが惜しい。

 また、正面の滑り止めラバーの面積は目いっぱい広げられた。ボディーが小型な半面、X2のラバーでは手の大きな人は指が余ってしまったが、これならしっかりホールドできるはずだ。



初心者にもわかりやすい操作感

 操作ボタンは個数、配置とも「X2」から変更はない。改良点は、液晶モニターに表示される露出補正やホワイトバランスなどの項目を、「SET」ボタンと十字キーを使ってダイレクトに変更できるようになったことだ。撮影時に頻繁に変える設定が簡単にできるのはうれしい。変更したい項目が、どのボタンに割り当てられているかわからない場合に特に重宝するだろう。

 また、モードダイヤルには「CA」という見慣れないモードが加わった。これは「クリエイティブ全自動モード」。「背景」を「ぼかす」「くっきり」など、わかりやすい言葉で撮影時の設定を選ぶことができる。簡単な操作で高度な表現ができる機能だ。コンパクトデジカメからステップアップした人はわかりやすく、すでに一眼レフデジカメを使いこなしている人でも応用が利くインタフェースだ。

 後は、上位機にあるサブ電子ダイヤルが備わっていれば言うことなしだった。



見やすい光学ファインダーと液晶モニター

 光学ファインダーは視野率約95%、倍率約0.87倍と「X2」から変更はない。軽量化・低価格化のために、上級機で採用されるペンタプリズムではなく、低価格機で一般的なペンタミラーを採用する。それでも0.87倍というファインダー倍率と明るいスクリーンはこのクラスで健闘している。薄暗い小さな窓をのぞき込んでいるような印象はあまりない。

 一つ気になったのは、シャッターボタンの感触だ。初心者向けということで誤操作を防ぐために重めに設定しているのかもしれないが、いかにもスイッチといった重くしっかりした感触。注意深くシャッターを押し込まないと手ブレしやすい。撮影結果にかかわる部分でもあるのでこの点は改善を望みたい。

 フォーカスポイントは9点と上位機には及ばないが、最近の一眼レフデジカメとしてはまずまず。オートフォーカスの反応は、キヤノンらしい素早いレスポンスで、ほとんどの状況で迷いなくピントが一発で合う。ただ、ファインダー内で合焦した部分で光る点が、小さすぎて被写体によっては、どこにピントが合っているのか見えにくいことがあった。

 ライブビューは背面の液晶モニター横のボタンで起動する。ライブビューモードは3つあり、「IXY」シリーズでおなじみの「フェイスキャッチテクノロジー」を採用する「顔優先ライブモード」が新たに加わった。人物の顔を認識すると、白のフォーカスフレームで囲んでくれる。

 ただし、人物が移動するとフレームは追いかけるが、ピント自体は合わせていない。ピントを合わせるには、背面の「AEロック」ボタンを押す必要がある。通常の動体撮影のように、常にピントを追いかけてくれないのは少々使い勝手が悪く、惜しまれる点だ。

 背面液晶パネルの大きさは3型と変わりないが、画素数が「X2」の約23万ドットから約92万ドットへと、一気にアップしたのは見逃せない。視野角も広く、3層に施された反射防止コートと合わせて、屋外でもクッキリとした表示で見やすい。




誰にでも安心して薦められるカメラ


 デジタル一眼レフとして性能・機能・操作性、すべての面で完成度が高く、安心して人に勧められるカメラだ。「EOS Kiss X2」もよくできたカメラで人気モデルだったが、短期間にこれだけ完成度を上げてきたキヤノンの攻めの姿勢が見て取れる。

 動画撮影機能は今後一般的になりそうだが、現状ではやや中途半端な印象だ。使い勝手が大きく向上しない限り、まだまだビデオカメラ代わりとはいかない。動画に対応した、静音のオートフォーカスとパワーズームを備えた普及価格帯のレンズの発売を望みたい。
posted by デジ at 12:24| Comment(0) | TrackBack(0) | Canon | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/118832656
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック